ほとり日記

2017年1月からの日記

虜にされた人たち

今日まで休みなのでゆっくり寝ていた。

平泳ぎのキックがどうしてもうまくできない夢を見て目が覚める。足がふとんから出ていて冷たくなっていた。夢はこのせいだろうか。

岸政彦の『ビニール傘』を持って、早めの昼食に出かける。
何を食べるか迷ったが、近所の中華料理屋にする。これまで二、三回行って、何を食べてもおいしかったので、食べたことがないものにしたい。昨夜うどんだったので麺はやめて、中華丼にした。

駅前のおしゃれなカフェに入り、『ビニール傘』を読む。
描かれている人たちの、生きて生活することの実感は、わかるとまでは言えないけれど、近いものを知っているような気がした。わびしくさびしい気もするけれど、そういうもんだ、といえばそのような気がする。
生きている中には、ああいう小説の種のようなものがそこここにある気がする。それを拾って小説にできるわずかな人とそうでない大半の人がいるのだと思う。

カフェの店主と、そこそこの常連客らしい女性との、丁寧語とフランクな語尾が微妙な割合で混ざる会話に気をとられる。

店を出るときに店主から「お近くにお住まいですか」と聞かれた。客が帰るときには必ず一声かける。去年の秋に初めて来て以来、この店にくるのは三回目なのだけれど、三回とも聞かれている。一回目のときは、話しかけられて他に客もおらず話した。できればあまり話しかけられたくないので、覚えてもらいたいとは思わないのだけれど、毎回聞かれるのもな。

午後のおやつに、冷凍してある小豆であんバタートーストを作るためにパン屋で食パンを買って帰る。

帰宅して、昨日のブローチ作りの続き。ラジオを聞きながら二つ目を作る。昨日よりもよいでき。
おやつのあんバタートーストは体感三十秒くらいで食べ終わってしまった。

夕食前に銭湯に行く。
昨夜は手芸をやったまま風呂に入らず寝てしまったので、背中の張りがひどい。朝から耳の聞こえが悪いのも、循環が悪いせいではないか。銭湯でほぐしたい。
時間が早いせいか、客が少ない。
風呂に入っている途中、脱衣所で高齢の女性二人が話し込んでいるのが目に留まった。
私が出てもまだ話している。他に誰もいないので会話の内容が全部聞こえてくる。
アイドルグループの「嵐」の話をしている。年上に見える七十歳前後の女性が次から次へと「嵐」に関して話し続ける。誰の実家がラーメン屋だ、誰と誰は十周年コンサートで泣いていた、誰はおばかさんだ、誰はおばかさんではなくて勉強してこなかっただけだ、などとめどない。二人とも「嵐」が大好きらしい。もう一人の女性が「私だけの意見かもしれないけど」と一人のメンバーについて否定的な感想を述べると、すかさず「でもあの子はコンサートでマイクのトラブルがあったときにすぐに駆け寄ったよ」とフォローしていた。
私が着替え終わって、出る頃になってもまだ話は続いている。虜なのだな。

家に帰り、えのき、わかめ、油揚げのみそ汁を作り、夕食にする。他に、玄米、梅干し、焼き海苔、実家でもらってきたいわしのしょうゆ煮。

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